Wolfsburg Kasten 1987-1989

今ここに ひとつの詩があるということを仮定する
仮定は全て詩であり
仮定からは 無数の空想が生まれる
ここに在る  この偶然性 必然性
数百年前の夜に生まれた獣が その骨を砕かれて
またその後 数百年後にその身をさらすとは
空想できるだろうか
空想は可能性と不可視な膜の内にゆっくりと
膨張しながら存在している

そして 私は その内側をゆるやかに這い回っている
繰り返される言葉と確認される空想
たったひとつのこれを想うのは 大きな空想力ではないか
それとも視線が求めるゲシュタルトなのか

ひとつの箱庭の中から無数の感傷や直感 そして
空気の移動による振動のようなものが 生まれてくる
ここに在る 黒い石の種のそこから生まれてくる断片
育ち続ける直感力 ここに私は留まって
無数の断片達に水を与え続けたい
私は水をくみあげ   そして  笑う