私は文盲
彼女の言葉の鋏で
こじあけられる目蓋の
形を黒糸で縫い直す日々
彼女の次の施術を待つ
小さな蟻のような患者であり続けるだけ

彼女の姿勢はゆるいカーブ
彼女の詩性は神聖な莟
彼女の私製は宝石探し
彼女の詩聖としての微笑
彼女の試製された言葉

彼女の刺青は深く刻まれる
彼女の言葉が足踏む者の
重みを綱渡りのロープに伝えてゆく様子
私はロープのカーブを指でなぞりながら
彼女の姿勢・詩性・刺青に憧れる
天鵞絨の人

彼女は撹乱器なのだと
頭のない小鳥は囀る
満たされる器の透明さは
彼女の詩性と比例する
言葉の尾をたらしながら微笑む彼女
くすくすとくすぐられる 

                    間奈美子讚 2009/10/10