on going / sky blue line

●展示のための下見に出かけると
作品のサイズをイメージするために 壁にテープを貼って検討することがある
4月に出かけた大阪では
テープを持参するのを忘れてしまい 画廊にあったのをもらった

水色のマスキングテープ

壁に貼ると
たったひとつのその線だけで
空間は がらりと変化していた

こんな風に なんでもない状態の方法論は
私には とても好ましい

しばらく前から残ってしまう作品を作りたくないと思うようになった
形やサイズやタイトルや あらゆるものが億劫な要素になる

形を決めて サイズを決めて タイトルを決めて
それが どれほどの意味を持つのだろう?

マチエールに出会うこと
ささやかといえる範囲の行為をすること
それだけが 私にとって重要なことだと思う

自然や風景 それがなにを与えてくれるのだろうか?
それは 頭のいい人間のつごうのいいお話探しの方法論だ
かといってデジタル世界で作られるイメージは
もっともっと貧相だ 頭の悪い人間の記号探しの旅

なにを選びとってゆくのか
時々 自分をとりまく空気に押し潰されるように感じる
私のほしいものは どこにもない 選びようがない

作品のサイズは どうでもいいことだ
ただ 小さければ小さいほど作業は 個人的 内省的になってゆく

そのうち そうして そうして
なにもかもが なくなるほどになったらいいかもしれない

作品を作ること自体が 旅をするようなものだと 今 思う
得られるものは なにもない

             2002 個展の案内状に添えたテキスト