january [tiny]

1995年にの最初のシリーズを郵送する
作業を始めました
1996年と1997年は一日に一枚のポストカードに
コラージュとドローイングをする形でシリーズを制作しました
ポストカードというのは 私にとってとても思い入れのあるカタチです
1998年はカードサイズのを郵送する
シリーズを月単位で制作したいと思います
ちいさな画面に配置を考える作業は まるで
楽しいおままごとのようなものです

言葉や表現のしようのない感覚が 自分の荷袋の
中に知らずのうちに断片のカタチでうずくまってしまっていて
自分の背中にこくりと重さを感じることがあります
手を回すとぬるりとあたたかいような感触で
体温と日常という時間の中で溶け出すこともなく
留まってしまっているそれらのモノは
私にとって作品というおままごとの重要な相手役なのです
音のない会話を繰り返して
静かな熱狂を育てるように 私は独り遊びを続けています
細かく刻んだタンポポの葉 あかまんまの実を
こそぎおとして 小さなお皿にいくつも並べて
楽しんだように

そんな風にしてできたものを細かく刻んでカードの
お皿に自分の手をとおして並べることができたらと思います

 
モノと出会って 日常の中に配置してゆく
ある時 そのモノを展翅するために箱を制作し
出会った日付と展翅した日付を記録しておく
そして < text > として 言葉をつけてやる
あるいは そのモノを < motiv > にしたドローイングを制作する
そうした方法で作品を作ってきました

モノに出会うことは 息苦しくなるような感覚なのです
展翅をして  text をつけることができると
そこで とりあえず呼吸をすることができる
ドローイングは いくつかのシリーズの形をとって
なんども描き直されることになるので 深呼吸が繰り返され
なかなか 安息の呼吸をつくことはできません

今回のドローイングのモチーフも出会ったモノです。
< tiny >とタイトルをつけた シャツの襟が型崩れしないように
いれられる極薄いプラスチックで型抜かれたそれには 
1993年11月27日にN.Yの路上で 出会いました

モノをモチーフにして描くうちに モノそのものの輪郭線を
なぞってゆくようになりました
モノは定規のような役割を果たし 私の呼吸を助けてくれるのです
モノの輪郭をゆっくりとなぞる 
マーキュロで塗りつぶすことの繰り返し
乾いた面とマーキュロで水分を含んだ面の静かな様子の対比を
見るのは とても楽しい作業です