AMPERSAND

Written by yun

[&]は灯光舎より刊行の新しい雑誌です
初号発売中
灯光舎「&」頁へ

シリーズ最初は [詩的なるものへ]というテーマで空中線書局による編集で
1年〜2年をかけて6号分が刊行されます.その6号分の制作をさせていただくことになりました.
日々のなかでそのプランを具現化させてゆく作業はわたしにとって大切な時間になってくれることでしょう


10092020
2号めの入稿完了.トレーシングペーパーの透けるようなのとは違う感触で薄い紙に刷りたいと最初に思い ちらしに使われるような極薄い紙の微塗工紙45kgを選んだ.編集人の間さんにそれを伝えると「これしかないと思いました.薄くぴりぴりしていて」と返事がきた.ぴりぴりしているという間さんの表現がうれしかった.そんな薄い紙の冊子だから 頁をめくるとすぐに折れたり擦れたりするだろうな.でも そんな風に頁を開く感触もいいものだ.すぐに傷んでしまう印刷物.いいじゃない.線が意図しているようなしていないような案配に裏抜けしているような感じにできあがるといいな.そして印刷会社の推奨する線の太さよりもより細いデータにした.故にきれいに刷れるかはわからないけれど まぁやってみたいからいいさって.今回のはすべてデジタル習作のもの.最終的なアウトプットは今まではキャンバス或るいは下地塗りをした板や石膏の板に手で描いていた.今回のはシンプルに紙に作業をしてみる.そして そのためのフレームをデザインしようとも思っている.テキストはフレームの表面のアクリルにレーザーで彫って 画面のうえに影として投影して読めたらいいな.点数が揃ったら どこかの小さなスペースで展示をするのを目標にしよう.

10082020
10代のときに制作した「ユニットとグルーピング」という学校での課題のことをよく思い出す.
ひとつの形(ユニット)を白い紙を切り抜いて何百枚(何千枚だったのかも)も作り 糊をつけて角度を僅かに変えながら連続させたり反転させたりを繰り返して 黒い台紙のうえに貼ってゆく.そんなシンプルな作業から得られる多様な印象の画面.50点くらい作った記憶がある.その紙の束をいれるパッケージを最後に作ったのだった.当時はパソコンなぞなかったから 全てが手作業でその工程も好ましかった.(どれほどの時間を費やしていたのだろうか)レコードジャケットのデザインやパッケージを作るといった それっぽい課題よりもずっと印象深くあり 自分の土台になっていると思える.[&]の2号めはそういった作業をしている. D.BOWIEの「美女と野獣」を聴きながら.

10042020
[&] 第一号が届いて 受取ってもらいたい人達のことを考えながら 送るための作業をはじめた.
新しい郵送シリーズのつもりで6回の発刊の度に なにかしら on going な内容のプリント作業を送ることにしよう.今回は 習作の{NOCH ETWAS}をカードサイズにプリント.1点づつ刷って 封をしてからランダムに宛名を書こうって思っている.誰にどのモチーフが届くかはわからない.封筒の形の「本」をまた封筒にいれて またそこにテキストをいれて ってイレコ的になってしまうけど それもまた楽しいかと思う.久しぶりのプリント作業をしながら 小さなラベルを考えたりしていると受取人に届けるのがいつになることやら………なので 来週中には郵便局に行くことを目標に.

この今の世界の状況では 小さな書店や出版社は波にのみこまれて沈没してしまうかもしれません.受取人になってくださる方にお願いします.周りの方にもこんな本が 新しく出版されたよとお伝えください.(「&」取り扱い書店リストはこちら).世界の様子が過酷な状況になってゆく中でわたしに出来ることはなにもなく この日々の中でただ自分の内側で出来ることを模索するしかありません.1冊の本を買うだけでは世界は救えないけれど 連なって連なってよい方向に向かってくれることを願っています. 

14022020
冊子のこと____透過する冊子もいいな 封筒の冊子もいいな 1冊は写真のも作りたい.あれこれ断片的な空想.ゴムをマテリアルにした制作をまとめた「ongoing」.制作に使った天然ゴムシートを表紙にした.今ではその劣化した様子がうれしい.紙が透けるのとはまた違った物質感. 時折 習作を作るデジタルドローイングは描いていると音のように単語や文字がでてくる.それが楽しい.その線の重なりを透過させたい.グラシンに刷って折り畳んで線を重ねたらいいのかも.行儀のよい体裁でなくてもいいのじゃないかしら.青の冊子には真ん中頁にダイレクトにフロッタージュできたらいいな.でも部数全部は時間的に無理か………一部を私家版として制作できたらいいのかもしれない.

10022020
写真のコラージュ作業をしながらテキストの断片を書き留めてを繰り返して だんだんに頁がまとまってゆくのはうれしい作業.試しにプリントした頁を冊子の形に糊づけをするのは特に楽しかった.構成をすこし変えて真ん中にくる頁に説明的なテキストをいれることにして書いたテキストをタイプしながら推敲作業.何度もの書き直しもデータ作業ならやりやすい.デジタルの恩恵だ.子供の時分にこのツールがあったらどんなにかよかったろうって.頁を作ることはずっと好きな術だ.書いて世界を綴じること.そっと開いて世界の構築をながめること.何度も何度も見直しをして 本日入稿完了.

23012020
最初のノートの構成を作業している
[material glance]は わたしにとって30年あまりの時間を積もらせた制作なのでノートもだいぶ黄ばんできているといった感じで.ノートの表紙には古い封筒を使う.その封筒の持主だった Dr.P H.Gregory はとうに亡く その息子さんが切手整理のために使っていたものを そのまた息子さんが奥さん(彼女は小学校以来の大切な親友)を通してわたしに下さったものなのだ.そうやって時間を旅してきた封筒は大事に飾られてきた家族の古い写真のようにわたしの眼や感情を愉しませてくれる.輪ゴムを配した状態でmaterial glanceの一部として配置をしたことがあり 経年劣化でその輪ゴムは封筒に溶け込むように同化してゆき ウツクシイマテリアルとして大切なパーツになっている.今回 ノートの表紙に使いたくて その持主のお孫さんに 封筒に書かれている名前などもそのままの状態で使用することを快諾してもらえた.

6回の連載が無事に完了できたら6冊のノートをいれることのできる 函 を作りたい.紙製かずっと以前から作りたいと考えている絞り出しで作る薄い金属製の函もいいかなとも.楽しみだ.

19122019
毎回 違った体裁(冊子なのかカードなのか)にするか 同じ体裁にして6回分でまとまった形になったほうがいいのかと なかなか決めきれないでいる.写真作品のためのノートをめくっていてふと思った.これを再現したものにしようか.以前に郵送シリーズで制作ノートをそのまま複製した時はとても好ましい作業だった.ノートという体裁なら 試しているいろんな断片をコラージュのような様子で提示できる.

+物質のまなざし material glanceについてのノート
+青についてのノート
+黒についてのノート
+花びら/襟型/ 雲形定規についてのノート
+異処 another place;another mindについてのノート
+形の娘についてのノート

10112019
過去の焼き直し的なことよりもなにか新しいことをと気負いすぎたり  いや 今までの大事に思ってきたことをまとめてもいいのじゃないかとか あれこれと ぐるぐると行ったり来たりしてしまって…私にとって 物質 は 「詩」{或いは 誌}であるということを証明する?確かめるため?の冊子を組み上げたい.写真やメモとテキストとドローイング(コラージュ?)とそして できれば線なり面なりのドローイングやノートにスクラップしたパーツも再現するなど なにかしら手の作業を加えた号も作りたい