at the beginning and at the end

Written by yun

[制作]ということのはじまりがいつからだったのかと記憶を辿ってゆくと
それは三十六年前にさかのぼってゆく
大学院へ進む時期に
制作過程のドローイングやテキストと一緒に出会ったマテリアルそのものを
大きなサイズのファイルにためこんでいく作業を始めた
それはどんどんと膨らみ 重たいものになっていき
5冊目になったときにファイル自体が手にはいらなくなってしまったので
頁をそのまま 或いはレイアウトし直してカラーコピーで縮小し
十六年分の制作資料を2冊のファイルに綴じ直した
その作業そのものが わたしにとっては
過去を編纂して次に進んでゆくための[制作]だった

パーソナルプリントができるようになってからは
[selected works]として より判型を小さくしてリング綴じの形になった
ただ 6冊目まで作った頃には こじんまりとまとまってゆくその形が
なにかしらはがゆいような 望む形にはならないように思えて作業をやめてしまった

かつて はじまりの大きなファイルに心のむくまま
自分にとって大切な言葉や断片やあらゆるマテリアルを綴じていったときの幸福感
それをもう一度体験したいと思う
ウェブの表現世界が[サイズ感のない世界]だとしたら
むしろそこでこそ 望む形にできるのかもしれないと思える今
これまでの制作について ここに構築していってみようと思う

次に進んでゆくために
やってきたことを確かめるために     大森裕美子